ちょこっと記事

まるゼミ誕生まで⑥~ESD円卓会議にて~

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じもとまるまるゼミのリリース前後1年分くらいを
加藤拓馬が一気に振り返るコラム・シリーズ「まるゼミ誕生まで」最終回です


前回のあらすじ
自分たちが目指す役割とは子どもたちにUターンを強制することではなく、全国に「気仙沼の活動人口」を増やすことだと見出したまるオフィスは、まるゼミのコンセプトを整理し直して下半期新たなスタートを切る。
そして、とある会で登壇する。1年前は指をくわえて座ってるだけのあの会議だった。


11月2日。
「気仙沼ESD/RCE円卓会議2017」@面瀬小学校にて開催。

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気仙沼中の小中高の校長もしくはESD担当の先生、大学の先生、民間の関係者が一堂に会する会議。
20年近く続いており、気仙沼が「ESDのメッカ」と呼ばれる所以がここにもある。
私も出席するようになって3年目になるか。

今年、ESDの地域事例発表とパネルディスカッションで登壇させていただいた。

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この連載は今回で最終回。
この事例発表のプレゼン内容を最後の締めとして紹介させていただく。
いろんな今までの経緯がぎゅっと詰まったプレゼンになった。

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それでは、どうぞ。


 

まず、まるオフィスの紹介をちょこっとします。

私たちのミッションは「気仙沼に関わる若者の活動人口を増やす」ことです。
日本全体で住民人口が減っていくのに、気仙沼だけ住民が増えていくなんてことは今後あり得ません。
だったら、まちの内外問わず全国に、気仙沼のためにアクションを起こす人を増やしましょうよ、っていうミッションです。
そのために、3つのテーマで事業を展開しています。

1つ目は「種まき」。今日の話のメインですね。地元の中高生を対象にしています。
高校生は卒業後多くが外に出て行きます。唐桑だと90%に上ります。

そこで、外に出た人たちと気仙沼をつなぐ「マッチング」が必要になってきます。
移住センターMINATOなどの事業がこれに当たります。

そして3つ目。地域内にくらす若者のアクションも喚起すべく、ぬま塾、ぬま大学のような若者の挑戦の「応援」プログラムも手がけています。
財源は主に助成金や市からの委託金で成り立っています。

今日は、テーマ「種まき」のための「じもとまるまるゼミ」事業を紹介します。

このように、地元の中高生が地元の漁師さんや農家さんのもとに半日弟子入りするという体験プログラムです。
ときに、外から社会人や大学生を呼んできます。
地域の内外のプレーヤーをつないで、「力を合わせて育ち合う」=「協育」のエコシステム(生態系)をつくりたいんです。

百聞は一見に如かずってことで、去年の漁師体験をまとめた動画をご覧ください。


 
 
なんでまるゼミをやってるのか、その背景を紹介します。

今、急激な少子化によって、地域にこんな悪循環が生まれています。
子どもが減ると、子ども向けのイベント、企画、事業はどんどん統廃合されます。唐桑にあったキッズクラブも近年なくなっちゃいました。学校以外で地域に触れる機会が減っていくんですね。

そうすると地元への愛着が湧かず、結果Uターン率が落ち込む。だから少子化が止まらない、というスパイラルです。
一方で、社会全体の課題も他人事ではありません。

具体的にどれくらいいないかっていうと、この例をご覧ください。小原木を含む唐桑地域の中学生の入学者数です。
オリンピックが終わり、21年の入学者数は16名にまで落ち込みます。
今は一学年40名ですから、数年後にはがらりと中学校の雰囲気は変わるでしょうね。
そう遠くない話です。

ある漁師さんはこう言います。

唐桑の高校生はこう言いました。
先生がダメって言うからです、と。
安全への考慮は理解しつつ、一方これで海のまち気仙沼は「海洋教育」を進めているんです、と言えるでしょうか。

子どもたちは激減し、学校以外で地域やそこにくらす大人たちと触れる機会も失いつつあるのが現状です。浜から遠ざかっているのはその代表例です。

じゃあどうすればいいのでしょうか。私たちは、子どもたちに気仙沼のかっこいい大人たちの背中を見せるっきゃない!と思い至りました。

学びのテーマは「地元のくらいがい、はたらきがい」としました。
このように主に一次産業の方々に、今までプログラムを受け入れてもらいました。
自然と対峙してはたらき、くらす人たちです。

この先生たちをマッピングしてみました。見てください、唐桑半島全体が学び舎になるんです。これがもっと増えていって、日曜になったら気仙沼中から中高生が唐桑半島に学びに来る、なんてことを夢見てます。

では、この学びのテーマを掲げたまるゼミは何を目指しているのでしょう。

それは「いきぬく力」です。
これはダブルミーニングでして、ひとつが力強いバイタリティを表す「生き抜く力」、もうひとつは“いなか”ならではの「息を抜く力」です。レジリエンスなんて言葉が最近よく言われますね。

ワークライフバランスなんて言葉が都会では横行してますが、そもそもワークとライフが二項対立で語られることが疑問です。気仙沼の魅力は「はたらく」と「くらす」が非常に近いことです。
漁師なんてまさにそうでしょう。くらすようにはたらき、はたらくようにくらし、両者は不可分です。それが本来のくらしの姿なんだと思います。

そのコツは息を抜きながらはたらくこと、くらすことです。常にいっぱいいっぱいじゃない、余裕がある、と言った方が分かりやすいでしょうか。
このまちはその術を持っています。それを子どもたちに伝えたいんです。

このようにして、前身企画「すなどり先生」を含むと1年半これまでやってきました。

先日公開されました教育事務所のPR動画にも、まるゼミのカットを使っていただきました。

まるゼミの展開として、地元企業のスポンサードでコラボ企画を始めました。この夏に「気仙沼さん」という通販サイトとコラボして、商品PRのCMを高校生たちとつくりました。
ぜひ中高生とコラボしたい企業さんがいれば、お声がけください。プログラム考えます。


さて、最後のトピックです。

「ムラを捨てる学力」が日本の中山間地域で問題になってきました。
それを「地域(ムラ)を育てる」教育に変えていきたい。島根県の離島海士町に視察に行って思ったことです。
地域と教育は両立するのでしょうか。
(※詳細は前の記事と重複するため割愛)

とは言っても、中高生にUターンを強制する訳には行きません。
「将来はぜったい気仙沼に帰ってこいよ!な!ぜっっったいだぞ!」と押し付けることがまるゼミではありません。
長らくそこに私も悩んできたのですが、今はこう考えるようにしています。

将来地元に帰ってきて挑戦する!という選択肢もとても魅力的だなぁと子どもたちが思ってくれるよう、このまちを磨き続けることが大事ということです。それを子どもたちに伝え続けることが地域協育なんです。

豊かな人生とは、選択肢が豊かにある人生だと考えます。

今は残念ながら、地元に帰りたくても、もしくは地元で魅力的な仕事に携わりたくても叶わないことが多いです。
原因は様々でしょうが、とにかくUターンという選択肢が魅力的ではないんです。それは致命的です。
「地元という選択肢」が魅力的であることが今住んでいる私たち大人の務めです。

都会で挑戦するもよし、気仙沼へUターンして挑戦するもよし。
この「選択肢の広がり」が、子どもたち自身と地域の両方を豊かにすると思うんです。

では、そのために私たちが求められる役割はなんでしょう?

それはコーディネーターです。私たちは地域の中でコーディネーターとして、三方よしならぬ四方よしを目指します。
生徒だけじゃなく、保護者、地域にとってはもちろんのこと、学校にとっても有意義であることが大切です。そんな学校現場も今大きく変わろうとしています。

恥ずかしながら私はこのニュースをつい最近まで知りませんでした。衝撃のニュースです。これは近いうちに学校現場が全く変わってしまうことを示唆しています。
詰め込み型の、インプット型の学びはすべてアプリケーションが替わって担うようになるでしょう。
じゃあ教師は何をするの?教師の役割が激変します。
それは、アクティブ・ラーニングのコーディネーションや日々のワークショップのファシリテーションです。
この変化を学校だけの問題にしていていいのでしょうか。
地域で教育を支える準備を今からしておかないと、子どもたちがただタブレットを触るだけの教育になってしまいます。
地域の力が必要なんです。

そのための私たちの課題はやはりこれです。資金調達が乏しいという活動の課題はずーっと残っています。
(民間でこういう地域のコーディネート役や地域教育事業をやっても稼げないから、やる人がいないんでしょう。マネタイズが最大の挑戦かもしれません。)
今、助成金を卒業して、寄付や企業スポンサー、事業収益など財源の多角化を目指していますが、なかなか厳しいので、是非みなさんアドバイスください。

最後のスライドです。
私はこういう文化を気仙沼につくりたいんです。みなとまつりの協賛に地元企業の名前がずら~っと並ぶように、次世代への協育事業についても、投資だと思ってお金を出し合うまちです。
 
 
社会の次世代を担う人材に「いきぬく力」をつけてもらいたい。
そして、それを地元のかっこいい大人たちの背中を通して伝えることで、地元も子どもたちも両方豊かになることができます。
地域ぐるみで投資する文化がつくれればコーディネートも安定し、地域協育のエコシステム(生態系)がつくれます。
それこそが気仙沼モデルになり、社会全体に輸出し得るのです。

ありがとうございます。

加藤拓馬ブログ「遠東記」より)

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