ちょこっと記事

信じて手放す!最先端の現場より探究学習のレポートをします

前回のコラムに続き、秋から冬にかけての探究学習コーディネーターの活動様子をまとめます。今年度より松岩中学校はじめ気仙沼の複数校の授業「総合的な学習の時間」をサポートする日々。各校、成果発表会があるのは10〜12月ですので、佳境に入りました。

最先端!動き出す個々の探究活動

10月1日。松岩中学校の3学年では一人ひとつのテーマをもって探究しており、一斉フィールドワークの日を迎えました。実際に現場に足を運びたい、地域の人の話を聞きたい、という生徒たちの計画を受けて、先生たちが丁寧に事前準備します。しかし、このコロナ禍です。オンラインを使ったヒアリングも実施されました。その他、校内に残って作業する生徒もおり、まさに各々の時間を過ごす日となりました。「個別最適」の学びが注目されつつある中、公教育の中でも最先端の時間を過ごしていると感じました。


(移住・定住支援センター MINATOのスタッフにヒアリング)

11月5日。中学生に手話を広めたい、というテーマの2人は授業中に地区の集会所に出かけていきます。「好きに使っていいぞ〜」と集会所を管理する自治会長。集会所を借りる予約をした2人は11月22日、休日に友だちを集めて、手話や障がいについて知るためとある映画の上映会を実施しました。


(集会所への近道をずんずん進む2人)

他にも発泡スチロールで松岩のまちのジオラマをつくる生徒や、地域のポイ捨てを減らすための啓発ポスターを制作、実際に掲示する生徒など、一人ひとりの動きが際立ち始めました。

洋上の海洋プラスチックごみ回収装置を開発した生徒もいます。彼が登場する記事はこちら。

松岩中学校の記事
12月3日 総合的な学習の時間 まとめの時期になりました

唐桑中学校ではグループごとにフィールドワークを行います。近くの浜にビーチクリーンに来たグループはタブレットを使って、動画制作のための素材を撮ります。タブレットを活用した学習がいよいよ始まります。(21年1月〜一人一台タブレット導入)

面瀬中学校では「クラウドファンディングをやってみたい!」というグループがフィールドワークで訪ねてきてくれました。レンタルサイクリングの事業案をつくりたいと言うので、たまたま同施設に居合わせた大学生たちを捕まえて企画発表会を敢行。大学生からもフィードバックをもらいます。

そんな彼らが後日作成したページがこちらです。「模擬的に」クラウドファンディングに挑戦してみました。

気仙沼(大島)をサイクリングスポットに!(模擬クラウドファンディングページ)

信じて手放す

話を松岩中に戻します。いよいよ発表会が近づき、一人一枚の模造紙にまとめていきます。

12月17日。体育館にずらりと並ぶ模造紙。タームに分かれて一人ひとり一斉に発表していきます。どの学校もコロナ禍で地域の方を広くご招待できないという状況があり、保護者や生徒どうしのみの観覧でした。

グループでの発表と異なり、学年全生徒必ず一人3分以上はしゃべるというハードルの高い取り組みです。探究学習に苦戦した生徒も中にはもちろんいます。しかしそんな彼らも含めて堂々と発表する様子を目の当たりにして、ひたすら感動しました。

地区の防災無線が聞き取りやすいか否かについてアンケートを取り、マッピングし、地理的条件等を考察した生徒の大作。

後日、地域の経営者に成果物を手渡しに行った生徒もいます。彼女は外国人が住みやすい気仙沼をテーマにして、半年前、菅原工業の菅原渉社長(当時、専務)にヒアリング、渉さんがぽろっとこぼした実習生たちの暮らしの課題を形にしました。インドネシア語訳のゴミ出し表を作成したのです。

生徒たちにはもちろんなんですが、この取り組みをやってのけた先生方にも感服しました。「個人探究」に踏み切ったのは、コロナ禍で感染対策のためグループワークを控えようという理由もあったそうです。そういった災いも転じて今回の成果につながりました。
「もう思い切って一人ひとりに任せてみたんです。私が驚いてますよ。この子たちがこんな力を持ってたなんて」という学年主任の先生の言葉が印象的です。「信じて手放す」私たちコーディネーターも大切にしていることです。

探究のコーディネートは生徒を信じることから始まるんですね。

おまけ。職場体験を受け入れてみた

コーディネーターとしてのサポートとは別に、地域の会社まるオフィスとして今年は初めて職場体験の受け入れを経験しました。松岩中学校2年生の生徒4名が3日間来てくれました。まるオフィスに職場体験に行ったら何が待ってるの?そう、コーディネーターとして一緒に中学校に行くのです!2年生を連れて、学校に出戻って3年生の授業に入るという不思議なことが起きました。

ただ、これがおもしろかったんです。改めて探究学習の意義を伝えた上で、3年生が一人ひとり探究している授業を見た2年生は「じ、自由ですね」「楽しそう…」「自分だったら、来年何をテーマにしよう」とこぼします。

詳しくはこちら。ご覧ください!
加藤拓馬のブログ 職場体験を受入れてみた

この職場体験で中学生書いたコラムはこちら。

教師の代わりにAI+インターネットは有りなのか無しなのか

(文・たくま)

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